不思議売ります2

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       * 「えぇと、ヴィオレ、これとこれとこれと……いろいろ借りていきます───って、どうしたんですか?」 声をかけた理由は、ヴィオレが手紙をぽいっ、と投げ出したところだったから。おや、珍しい。 「……うん、ちょっとね。その手紙、読んでもいいよ」 「……はぁ、じゃあ読みますよ」 薄紫色の便箋から手紙を取り出す。真っ白の文字が濃い紫色の手紙に並んでいる。 「……イングリッシュ?」 「まぁ、ね」 これ以上はなにも言いたくないというヴィオレからの無言のメッセージ。もう黙ることに決めて、アルファベットを追う。 「……」 「……」 「……ヴィオレ」 「なんだい」 「この仮面屋とやら、あなたとなんの関係があるんですか」 声が自然と低くなる。 わたしのクラスメイトが、ファンタジィに入りかけた。 それはたった数日前のことで、わたしを苛立たせることだった。胸くそ悪くなるような、薄汚いファンタジィ。誰かの悪意が目に見えるよう。
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