不思議売ります2

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とにもかくにも『そこ』からは出したし、それ以来は何事もなかったかのように過ごしている。 けれども。 「あんなふざけきったの作ったの、誰だか知ってるって言うんですか」 「……僕の兄、だよ」 「……あに」 あ、に、と口の中でたった二文字の単語を転がす。 「……で。なんでヴィオレの兄はあんな悪趣味なことして、尚且つそれをあなたに手紙でわざわざ知らせてるんですか」 「さぁね」 はは、とヴィオレが乾いた笑い声をあげた。コツコツとテーブルを神経質に指で叩く。 「まあ、一応、僕も彼には困ってるというか……出来ればこんなことやめてほしいし、それは何度も言ってるんだけど……」 「やめる気はない、と」 ひょい、とヴィオレが肩を竦めた。処置なし、ということ。
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