不思議売ります2

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「それにしても、仮面屋さんってなんですか、なにがしたいって言うんですか」 「んー……と、これは僕の兄が言ってたことなんだけどね?」 「はい」 「彼は彼の顔を隠したくて、仮面屋さんに、なった、とか、」 あ、と言葉がわたしの口からぽろりと溢れた。人差し指で、ヴィオレを指差して、 「あの、もしかして、」 「そう、僕」 はー、とヴィオレがため息をついた。 「よく解んないんだけど……どうも兄は僕のことが嫌いみたいでね。『何故弟はあんな顔をしてるのだろう』って言ってるのは聞いたことがあるよ」 「あー……」 いろいろ察するところがある。というか察するところ以外はないというかなんというか。 「ヴィオレ」 「うん?」 「もしかしなくてもあなた、人気者でした?」 「いや……普通だったと思うけど」 たはー、と脱力して上半身をテーブルに投げ出す。その返事、は、さ?
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