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「ちぃっとだけ同情しようかな……いや、無理だ」
イケメン・鈍感・フラグ立ての三拍子揃ったヴィオレだ、そりゃあ人気だったのだろうし、それを本人は気付けていなかったのだろう。どこのラノベの主人公だ。
それを仮面屋さんは嫉妬していたのだろうし、それにヴィオレは気付けていなかったのだろう。
「……まぁ、この際何故あなたの弟があなたを嫌っていたのかはどうでもいいとします。それがどう転がってあんな物騒なものを扱うようになったんですか」
「えぇ……そこ端折るのかい」
「どうせ嫌われてる理由だなんて嫌われてる本人からしたら永遠に解らないんですよ」
悲しい哉、世の中はそんなものだ。
解ったのか解らなかったのかは解らないけれど、ヴィオレが一つ頷く。にこり、といつもの笑み。
「彼のことは僕も諦めてしまってね。……だって、もう、どうしようもない」
「……?」
「もう彼の顔は見れないし、もう僕らは彼の顔を思い出せないんだよ。どうしようもないところまで彼が進んでしまったから……父も母もとうの昔に死んだ。数百年は前の話だ。唯一無二の、肉親なのだけどね……」
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