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あぁ、とわたしは頷く。
「それじゃあ、仮面屋さんも、ファンタジィ?」
「そう」
やだなぁ、とわたしは笑う。
「また、ファンタジィか……」
「うん?」
「たまには、リアルに触れてリアルで生きないと、引っ張られちゃう」
わたしの目の前、机の上に積まれた真っ白な本を眺める。
「やだなぁ、やだなぁ、わたしまだリアリティの中にいないとなのに」
「何故?」
「何故ってなにがです?」
「何故リアリティの中で生きるんだい?」
「やぁですね、ヴィオレ」
にこっ、と笑ってみる。
「だって、愛子がいますもの。まだ、リアリティにいないと」
「愛子、さん」
「愛子にわたしまだ、なにも返せてないんですよ。きっかり全て返してから、わたしはそちらに行きます」
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