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なにを貰ったんだい、とヴィオレが問う。
「そりゃあ、たくさん。……わたしきっと、愛子がいなかったら死んでたんじゃないかな。それくらい、のことです」
「そりゃあまた」
「わたし、もういいんです―――」
―――ゴーン!ゴーン!
「うわっ、……鐘?」
「大きなのっぽの古時計だよ」
「はっ!?」
「もう、お帰りになって、って言ってるんじゃないかな。ほら、時間も」
「うわっ、本当だ!帰ります!!」
気付けば外が暗くなっている。バタバタと帰り支度をして、ヴィオレにぺこっと頭を下げる。
「バタバタしてごめんなさい、それじゃあ!」
ちりりん、といつもは可愛らしい音を立てるドアベルも乱暴に。図書館から出ると足元が怪しくなっていた。山の夜は来るのが早い。
「はやく帰んないと―――」
リアルに。
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