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「……琉生」
「ちぇー……ハイハイ」
がたん、とわざと音を立てて椅子に座った。時間は十時半、物理の授業の前の休み時間の教室。
「もー、だから、理数系をサボるのやめなさいって言ってるでしょう」
「解ってるよぅー……」
きりっ、と睨んでくる愛子に肩を竦める。
「だってー……」
「だってじゃない。単位落としたらどうするのよ」
「そしたら学校辞めるぅー……」
「馬鹿言わない」
はぁ、と愛子がため息をついた。わたしの隣の席が愛子だ。
「別にやめたっていいけどね、そしたら大学行けないのよ。行きたいとこあるんでしょう」
「んん……まぁ、行きたいんだけど……」
「その為にこの高校来たんでしょ?教科書に制服代、入学金もろもろ払った琉生のおじいさんおばあさんの気にもなりなさい」
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