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桜が綺麗に、儚く咲いております。
花びら、一枚、二枚、三枚。
「幸(サチ)さん、行きましょう」
「えぇ」
小さく頷いて、校門から歩き出します。隣には、高等学校で出来た友達。友達、というより仲の良い級友、といったところでしょうか。
あの子達のように、
私を呼び捨てには、
最後まで、しませんでした故。
その証拠に、ほら、彼女の彼氏が道の向こうで手を振っております。恐る恐るといったようにこちらを伺ってくる彼女に、行かれたらどうですか、と言いました。
「ごめんなさい、幸さん───」
「いいのです。ほら、××さんがお待ちよ」
小さく笑って、彼女は愛しい彼の元に駆けて行きます。少しだけ、その背中が、眩しい。
さて、行きましょう。
三年間通った学び舎。
結局なんの感慨も沸かなかったので、振り返らずにお別れを告げました。
*
私にとって、茶話会なるものはトラウマとなっています。
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