12、隣の花は赤――つづき

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◇  目が覚めたとき、いつもならあるはずの背中が見当たらなかった。そこでナツメは、昨夜は自宅に戻らずホテルに泊まったことを思い出した。  枕元に置いてあるスマートフォンを取り、ライン画面を開いた。  千沙希からはメッセージもなければ電話もかかってきていない。どころか、自分が送ったメッセージの横に【既読】の知らせも付いていない。  昨日、電話をかけたとき、千沙希はすでに寝ていたのだろうか。  ナツメは小さくため息を吐き、身体を起こした。  顔を洗って薄めに化粧をする。  白いスキニーパンツとノースリーブの紺色のチュニックに着替え、いつでもホテルを出られるように荷物をまとめた。  午前8時ころ、凪人からラインでメッセージが送られてきた。 【今から出られる?】
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