12、隣の花は赤――つづき

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「いきなりだなあ」  ナツメは【うん、行ける】と返事をして、トートバッグとキャリーケースを持って部屋から出た。  凪人はすでに廊下に立っていた。グレーのカーゴパンツに、写真がプリントされた黒いTシャツを着ている。今日もシンプルな格好だ。  ホテルをチェックアウトしてから、ナツメは京都での謙介との思い出の場所を凪人に伝えた。  法然院。  市バスに乗ったところで、凪人は「昨日、改めて謙介さんのフォロワーを調べたんだ」と話を切り出した。 「実は、海原深海魚から連絡があった。こいつは、【裏切り者の棺】に関わってる」 「え、そんなこと、自分から言ったの?」
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