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穏やかな通りを並んで歩きながら、ナツメと凪人はそれぞれ考えていた。
この哲学の道と、法然院が京都での思い出の場所。ここに謙介が隠されているとするなら、どこに。
まさか、寺のなかということはないだろう。人が見回るような場所に隠すことができるわけがない。
道沿いに、怪しい建物も見当たらない。
「京都じゃないのかな……」
ナツメが小さく呟いたとき、前方から中年男性がひとり走ってくるのが見えた。
「ああっ、ちょっと、そこの人!」
「そこの人……って、俺?」
男性に指をさされ、凪人は首を傾げた。
「そう、あの、携帯もってませんか? 携帯! 警察!」
「持ってますけど、警察って……」
「川に人が落ちてるんですよ、しかも全然動かなくって」
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