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…最初は、一時間待つと決めて待ったんだったな。
ふと、そんなことを思い出した。
くだらない思いつきで動いていた頃。
いったいなんだって、愉快だなんて思えたんだろう。
苦笑いをする気力もなく、しばらくの間、ぼんやりしていた。
数分の間に、二台の車とバイクが脇を走り抜けていった。
それほど寒がりな方じゃないが、もっと着込んでくるべきだったな。
約束もなく待ち続けるだけというのは、こんなにも空しいものなのか。
街灯の下を何かがよぎった。
人影だ。
オレは反射的に車を降りていた。
通りすがりの他人かもしれないと思ったのは、降りた後のことだった。
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