─誤算─ Act39.

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「美緒…」 小さく声がこぼれた。 美緒だ。 オレは足早に近づいた。 美緒はいつもの道の中ほどで足を止めてしまう。 後方の道路を車が通り抜けていった。 ほんの一時、ライトに照らされた頬は濡れていた。 かける言葉を見つけられないまま、オレは美緒を抱き寄せる。 「泣いているのか…」 腕の中で美緒がうなずいたのが分かった。 泣き顔を見るのも、泣かせるのも初めてだった。 細い体を震わせ、美緒はしゃくり上げている。
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