第1章

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浮気相手は、高井さんと言い争ってでも、結崎さんを奪おうとしていた。 略奪愛。 それは、いわば自分ではない誰かに向けられている愛情を自分に向かせようとする行為だ。 好きな人からの愛情をそこまでしてほしいと思う執念。 私には、あるだろうか。 たぶんない。 今までの経験で言えば、一度もなかった。 それどころか、もし。と過程する。 自分の彼氏に、猛烈に好意を寄せるような人間が現れたら、私は、高井さんのように、彼女を追い払うだろうか。 そこまで、(彼氏のことが)好きならと、私は自身が身を引く想像しか出来ない。 恋人も、そこまで好いてくれる人がいるなら、私と付き合うよりも幸せなんじゃないか。と思う。 確かに好きだと思う感情があるのに。 過去にいた恋人のことだって、少しも好きと思わずに付き合った人はいない。 好きだと思ったから付き合った。 私と付き合って。と思った。 でも、 好きって、何だ。 惹かれるだけじゃ、駄目なのか。
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