第1章

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何を感じて、彼女がそう思ったのか、私には検討もつかない。 「そうですか」 「でも、そうじゃないから駄目ね。相葉は、この線を越えてはこないもの」 「高井さんこそ、率直ですね」 「ふふふっ」 トマトとクラッカーにパプリカを使ったソースをかけ 口に運ぶ。 この店は、料理も美味しい。 もし、同い年なら友達だった、か・・・。それは、何だか残念だったな。足早に年をとることはできないし、また、とれたとしても、とる気はないが。 だけど、その言葉に少し勇気をもらって、突っ込んでみる。 「私、さっき、結崎さんを存じていますと、お伝えしましたよね」 「ええ」 「その事で、お話があったのではないのですか?」 「そのこと・・・?」 彼女が、本当に分からないというような様子を見せたので、話を続けた。 「会議室の前で、お聞きしたんです」 言ってしまえば、案外すんなり言葉が出てきた。 「会議室・・・・。あ、ああ。あれを聞いてたの?」 「すみません。・・・その事で、誘われたのではないのですか?」 あの会議室で聞いたことを誰にも言うつもりはない。 勿論、あれから誰にも話していない。 でも、もしも、彼女がそれを危惧していたら・・・。 と考えてみたんだけど、この推理は不出来だな。 全然、しっくりこない。 もし、彼女が私に口止めしたかったなら、もっと早く誘っただろうし。 もっとも、彼女が、そういうことをとやかく言う性格には思えなかった。
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