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「ふふふっ、あははははっ・・・くくくっ」
「・・・」
伏せた顔から、圧し殺した笑い声が聞こえる。
目尻に溜まった涙を拭う仕草をしながら彼女が顔を上げた。
「ごめん、ごめん。ふふっ、全然気にしてなかった。もしかしたら、聞かれたかな~。くらいには思っていたけれど。そうか、そのことで相葉は、私に飲みに誘われたと思ったのか」
「・・・はい」
そうでないなら、彼女は、どうして私を誘ったりしたのだろうか。
「それは、悪いことをしたね。全然気にしてないから、いいよ」
「・・・はい」
沈黙を挟んで、高井さんが、フッと息を吐いた。
「ん~、そうだな。私が、相葉を誘ったのを、言葉で言い表すのは難しいな。気になったからだよ相葉のことが」
「そうだったんですか・・・」
気になるって、どこらへんがだろうか?
その事より、何より私も気になっていることがあるのだ。
ずっと・・・。
この時のことを思い出して、私は次の日、
最大の羞恥に身を煽られることになる。それは、勿論、高井さんに申し訳なくって。
お酒の力って凄いなと、改めて知ることにもなった。
因みに、私は、この日、自分が何杯お酒を飲んだのか、覚えていない。
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