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「私には、分かりません」
結崎さんは、それは素敵な人だけれど・・・・
私も、好きになっちゃったくらい素敵な人だけど・・・。
高井さんも素敵な人だ。
彼じゃなくても、いいんじゃないかと思う。
浮気をする人は、浮気を繰り返すって言うし、それが本当でも違っても、リスク回避というか。
一度、浮気した人よりも、しない人の方が、当たり前だけど、いいんじゃないだろうか。
だって、一度は、傷つけてきたんだよ?
喧嘩とか、意見の食い違いとか、無意識とかじゃなく、一度は裏切ってきたのだ。
「浮気を許すだけで、彼がそばにいてくれるなら、私は、何度でも許すと思う。そうすれば、一緒にいられるでしょう?」
高井さんの言葉が頭の中でまわる。
好きな人と離れる不安からは、解消される。
それに、高井さんは、自信を持っている。
彼は、自分のところに戻ってくると。
許すことが出来ず別れるのと。許して、一緒にいる。
どっちがいいか。なんて本人次第だ。
それに
私の彼は、もう二度と浮気しないわ!
と言うような女性だったら、その女性が、また傷つく可能性を考えて、反対したり、別れた方がいい。と自分なりの意見を伝えることもあるけれど、高井さんは、彼がまた浮気することも念頭に置いている。
浮気するところも含めて、好きなままでいるんだ。
それって、どんな覚悟だろう。
いや、どれだけ、相手のことが好きなんだろう。
やっぱり、理解出来ない。
「相葉は、好きな人とかいないの?」
ふと、高井さんと言い争いをしていた女性のことを思い出した。
私にだって恋人がいた時期があるし、片思いで心を寄せた人もいる。
なのに、今、自分に好きな人がいたのかさえ、答えに迷ってしまった。
「いたような気がします」
「なぁに、それ?」
クスクス笑う彼女の横で、もう一度考える。
よくもう一度考えてみるけれど、気分がのらないのか。アルコールがまわってきたのか。たぶん、後者。
頭がうまく働かない。
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