優しさの凶器

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僕の乾いた手の先 ビニールシートに 包まれた かすがいの午後から生まれ育った夢を 踏み潰す冷静 針の雨がアスファルトに 刺さる15時10分 残酷な現実が 頭を擡げ ビニールシートに 張りつく沈黙 生きることは 誰を支えるの 追い求めるものを くぐり抜ける 尖った針の先 流れ噴き出す うねりの感情 雨は叩きつける 僕の指先が触れる 硝子越しの涙 乾く間もなく 流れ落ち 水滴は僕を乗せて あの日の午後へ 連れ戻してくれる 滲むほのかな ぬくもりの渦の寝床 夢の揺りかご 揺らすのは誰?
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