第2章

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第2章

   三春京平と高校時代の先輩、鶴間佑はいつも利用している赤提灯が似合う小さな古臭い居酒屋にやってきていた。  お決まりのお座敷席、一番端の席に座り、鶴間の右手にはビールジョッキ、左手にはネギマが握られ、ガンガンに冷房が効いた店内でビールを呷る。 「かぁぁあ。仕事帰りのビールは美味いな」 「鶴間先輩の飲みっぷりは相変わらずですね。で詳しいネタ下さるんですよね」 「まったく京平はいつでも仕事モードだなぁ酒が不味くなる」 「先輩が酔いつぶれる前に聞いちゃいたいんです」  三春は自分の横に置いたビジネスバックの中から手帳とボイスレコーダーを取り出した。 「潰れるまで飲まねーよ。子供が待ってる」  鶴間は学生時代から付き合っていた彼女を妊娠させてしまい、そのまま出来婚。  刑事と言う仕事柄、家に帰れない事が多く、奥さんは寂しさを紛らわすために浮気をした。それが原因で昨年離婚が成立。親権は鶴間の物となった。 「なんの話だったか?」 「ストーカー男が務所の中で死んだって話ですよ!」  
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