第2章

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 グラスの中に目玉が入っていたなんて情報は報道されていない。これもいいネタだと三春は手帳に書き込んだ。 「それで務所で奇怪な事をした塩崎はその後どうなるんですか?」 「あぁ、その後な鉛筆が頸動脈にぶっ刺さって死んでるのが見つかったそうだ。鉛筆は半分以上が体の中に入っていて、自分で刺すのにはどうも難しい角度だったが、務所の中で他殺なんて考えられない。それに塩崎は精神異常者だったから隔離されていて、部屋には誰一人入る事は出来ない。だから自殺で処理された」  その話だけでもゾッとする。  だが鶴間が持っている話はここでは終らなかった。 「遺留品の中に日記代わりに使われていたノートがあるんだが、そこに書かれていた事がまた奇怪でな」 「何が書かれていたんですか?」 「ノート丸々、殺害した蓮沼まりの名前がびっしりと書かれていたそうだ。最後のページには乱雑な文字で『まりに殺される』と書かれていたそうだ」  確かに震え上がる話だ。  なんせ蓮沼まりの遺体は今何処にあるか分からないから余計だ。  遺体は塩崎のアパートのベッドの上で腐敗が進んだ状態で発見された。一緒にあったバックに入っていた免許書から蓮沼まりだと断定された。  遺体が検死室に運ばれたが、その後すぐに遺体が行方不明になってしまった。  捜索するも一年たった今でも遺体は見つかっていない。  これは怪奇事件にも程がある。面白いネタが頂けたと三春は嬉しそうに手帳を閉じ、ボイスレコーダーを止めた。
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