第1話 『雷光』

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桜の花びらが舞う。日本の四季においては春に分類される4月の中頃、町の桜並木に旋風が吹き荒れる。それが自然的なものではなく、人為的なものだと、いったいどれだけの人が思うであろうか。 ??? 「ぐあぁ、遅刻だぁーーっ!」 雷ルナ(イカズチ ルナ)は学校へと続く坂道を、陸上選手も真っ青のスピードで駆け上がっていた。 これがいわゆる「火事場の底力」というものなのだとしたら、それをもう少し別の場面で活かせないものだろうかと考えるが、今現在のルナはかなりガチである。 ルナ 「うぅ、なんで目覚ましが鳴らなかったんだよぅ~!!」 それは、ルナが寝ぼけて鳴り響く目覚まし時計を止めたからである。しかし、今はそんなことを気にしている場合ではない。 ジャムパンを口にくわえたルナは、とにかく全速力で学校までの残り600メートルをあと3分以内に走り抜けねばならない。 ルナ 「おわっ」 しかしそういう時に限って不幸というものは重なるもので、ルナは盛大に躓いてしまった。泣きっ面に蜂とはよく言ったものである。
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