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閉まりかけた校門を飛び越え、生活指導の体育教師から逃れ、何とかホームルーム開始のチャイムが鳴る10秒前に教室にたどり着くことができた。
???
「おはよう、雷さん」
席についてホッと一息つくルナの後ろから気品に満ちた声が聞こえてくる。
ルナ
「あ、おはよう。神崎さん」
神崎アリア。ルナのクラスメイトにして、校内屈指の優等生。母親が世界的に有名なピアニストで父親はピアノのレッスンを受け持っていたこともあるという、いわゆるお嬢様。しかし本人はそれを鼻にかけることもなく、整った顔立ちなども相まって、男子からの人気はかなり高い。
アリア
「今日も寝坊?」
ルナ
「いやぁ、今日は普通に目覚ましが鳴らなくてねぇ」
完全に自分で目覚まし時計を止めたのを記憶から抹消していた。
間に合わなかった時には、担任教師にナンパされていただの人助けをしていただの、悪の皇帝の手下たちと戦っていただの苦しい言い訳をペラペラとのたまうルナだが、今日は遅刻ではない。
ルナ
「いやぁ危なかった」
アリア
「校門を飛び越える方が危ないんだからね?」
あーい、とルナが返事をしたところでチャイムが鳴り、担任教師が教室に入ってきた。
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