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あたしの横を歩く満希の顔を見ていたら、言おうとした事を思い出す。
「あっ!満希、あたしね、バイクが欲しいっ!」
みきの顔を見たら言ってやろうと決めてたんだっ。
前いた街では叶わなかった夢みたいな世界。
夜に嬉しそうな顔で出掛けていく姉が羨ましくてたまらなかった。
「駄目に決まってんだろ。乗りたいなら俺の後ろにしとけ。」
満希は解ってないっ!後ろじゃ意味ないのにっー。自分で運転するからこそ、楽しめるんじゃないっ。
「満希のばかっー。いいもん。自分で買ってやるんだから。」
満希を軽く睨んで見せると、彼はクシャっと顔を崩して笑う。
自分の兄なのに一瞬、本気で格好いいと思ってしまうから不思議だ。
「ばーかっ。安いもんじゃねえんだから、お前にゃ無理だぞ。女なんだから、少しは大人しくしとけ。」
二言目にはこれだ。女なんだからとか、あたしは大人しくしていられる様な女じゃない。
…絶対に自分で運転してやるんだからっ!
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