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繁華街を抜けて、しばらく道なりに歩けば住宅街に入るこの街。
あたしと満希の住んでいるマンションまでの距離は意外に短くて、マンションの近くには小さなコンビニがある。
「のろのろしてんな。早く入れよ?言っとくけど、誰かさんのせいで、めちゃくちゃ腹減ってんだから。」
不機嫌そうな声がする方へ目を向ければ、あたしよりもかなり先へ進んでいたらしい満希。
すでに、パンツのポケットから家の鍵を取り出しているのが見える。
「誰も頼んでないじゃん。先に食べてれば良かったでしょ?」
あたしを迎えに来たせいで、夕飯を食べ損ねたのだと言いたいらしい満希。
満希のいるマンションの入り口まで、小走りで向かうあたし。
そんな顔をされても、あたしにはそれに対しての罪悪感は皆無なはずなのに、矛盾しまくりのあたしの行動。
どうやら、あたしはそんな満希が嫌いではないらしい。
「優恵香ー?優しい優しいお兄様に、その態度はないんじゃないかー?」
満希は頭も良くて運動も出来る。ただ一つの欠点は料理のセンスが全くないとゆう事。
普通さ?どんなに下手でも卵くらいは焼けるもんじゃない?
満希はそのままフライパンに投入。そして、当然いつまでも火が通らないどころか殻が爆発。
あれを見た時にあたしは悟ったのだ。満希に料理をやらせてはいけないと。
「少しは、料理くらい覚えたらどうなの?」
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