コワレタ華

14/14
前へ
/655ページ
次へ
羽耶ちゃんはずっと優しかった。あたしの事も可愛がってくれていたし。 本当に普通の円満な家族だったんだ。 満希も羽耶ちゃんもあたしも仲も良くて、本当に幸せだったのに。 「…あんたのせいよ!あんたを庇ったせいでパパもママも…っ!全部あんたのせいなんだからっ!」 その幸せはすぐに壊れてしまう。 あたしが、小学生になった時に一緒に旅行に行った帰りに事故に遭ったのだ。そして、二人は、あたしを庇った衝撃で助からなかったらしい。 そして羽耶ちゃんが変わっていったのもそれからすぐの事。 優しかった目は憎悪に歪み、優しかった手もあたしを叩くものに変わっていった。 今思えば、両親を失った苦しみに羽耶ちゃんは耐えられなかったんだと思う。 あたし達の関係が悪化したのもそれからだ。 毎日、あたしは羽耶ちゃんに叩かれ責められた。 まだ幼いあたしはただ耐えるしかなかったのだ。 あたしが、母と父を殺したんだって。なんであんたが生きてんのよって。 そんなあたしを満希は庇い、羽耶ちゃんは一人になった。 だから、必死に笑顔を作った。いつか、また羽耶ちゃんが笑ってくれると信じて。 そんなわけないのにね…。 一度、壊れてしまったあたし達の関係がそう簡単に直るはずがなかった。 そういえば、羽耶ちゃんに言われたっけ。 お兄ちゃんまで、あんたはあたしから奪うんだって。 「…羽耶ちゃん…ー。ごめんね…。」 あたしは、満希まで羽耶ちゃんから奪ってしまったのだ。
/655ページ

最初のコメントを投稿しよう!

667人が本棚に入れています
本棚に追加