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羽耶ちゃんはずっと優しかった。あたしの事も可愛がってくれていたし。
本当に普通の円満な家族だったんだ。
満希も羽耶ちゃんもあたしも仲も良くて、本当に幸せだったのに。
「…あんたのせいよ!あんたを庇ったせいでパパもママも…っ!全部あんたのせいなんだからっ!」
その幸せはすぐに壊れてしまう。
あたしが、小学生になった時に一緒に旅行に行った帰りに事故に遭ったのだ。そして、二人は、あたしを庇った衝撃で助からなかったらしい。
そして羽耶ちゃんが変わっていったのもそれからすぐの事。
優しかった目は憎悪に歪み、優しかった手もあたしを叩くものに変わっていった。
今思えば、両親を失った苦しみに羽耶ちゃんは耐えられなかったんだと思う。
あたし達の関係が悪化したのもそれからだ。
毎日、あたしは羽耶ちゃんに叩かれ責められた。
まだ幼いあたしはただ耐えるしかなかったのだ。
あたしが、母と父を殺したんだって。なんであんたが生きてんのよって。
そんなあたしを満希は庇い、羽耶ちゃんは一人になった。
だから、必死に笑顔を作った。いつか、また羽耶ちゃんが笑ってくれると信じて。
そんなわけないのにね…。
一度、壊れてしまったあたし達の関係がそう簡単に直るはずがなかった。
そういえば、羽耶ちゃんに言われたっけ。
お兄ちゃんまで、あんたはあたしから奪うんだって。
「…羽耶ちゃん…ー。ごめんね…。」
あたしは、満希まで羽耶ちゃんから奪ってしまったのだ。
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