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あたしの罪悪感は消えない。
だって、羽耶ちゃんはあたしを許してはくれない。
あたしは、羽耶ちゃんから全てを奪ったのだから。
羽耶ちゃんは、そんな現実を見たくなかったのだろう。
学校帰りに、暴走族と一緒に走り回る様になった。
その時だけは、楽しそうに笑っていたのを覚えてる。
そして、あたしもその時間だけは救われたのも確かだ。
本来なら、満希だけは羽耶ちゃんに返すべきだったのかもしれない。
…でも、あたしは知ってしまったから…。兄の優しさも温もりも。
今更、一人にはなれない。
もう、満希を手放すなんて出来ないよ…っ。
「優恵香っ!俺がお前と一緒にいるから…っ!守ってやるから…。だからもう大丈夫だ。一緒に行こう。」
そう言って、泣きじゃくるあたしの手を引いてくれた兄。
満希はあたしよりも、7つも上で、あたしはただ満希に縋るしかなかったんだ。
羽耶ちゃんと一緒に住んでいた街を出るまでは、羽耶ちゃんの影にずっと怯えていた。
だって、見つかったらあたしはまた連れ戻されて叩かれる…。
そんな恐怖心が常にあった。
満希にはそれが解っていたんだと思う。
だからこそ、あたしと満希は今この街にいるのだから。
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