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久しぶりに会ったというのに、あたしと月君は時が経つのも気にせず、しばらくの間話し込んでしまっていた。
会えずにいた空白の数年間。
満希と月君はずっと繋がっていて、月君はずっとあたしを気にかけてくれていたらしい。
この学校への編入も、月君から満希に提案してくれたのだ。
「満希の奴さー。俺が、優恵香ちゃんに会わせろっても会わせないんだよー?」
なんだろう。あたしはずっと、何をしていたんだ?
こんなに優しい人達に囲まれていたのに…ー。
満希を信じていたはずなのに、どこかで疑ってた。
月君の事もそうだ。憧れながらも、信じきれずにいたあたし。
ううん。違う。本能では信じてた。ただ、怖かったんだ。
信じて傷つく事が…ー。
「優恵香ちゃん…?」
月君の心地良い冷たさを頬に感じた時、違和感に気付いた。
月君を見上げれば、その顔は戸惑いや悲しみで揺れている様に見える。
「やだ…。何泣いてんの。あたし…っ!もーっ…!見ないで…よ…っ。」
あたしは泣いてた。無意識に涙が頬を伝って、ただ静かに泣いていたのだ。
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