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「薄気味悪いのよ!その目も口も。全部っ!」
少女は思う。自分の何がいけないのだと…ー。
その鋭い目も、自分の頬を叩くその手も…ー。
大好きな家族…ー。
「…っちゃん…っ!ごめ…ごめんなさい!ごめ…んなさい…!」
優しかった姉が変わってしまったのはいつからだろうか。
少女は、憎悪に顔を歪ませる姉の目を見て何を感じているのだろう。
「あんたのせいなんだからっ!パパもママもあんたのせいで!」
目の前の自分に似ている姉が手を振り上げる。
「いやぁぁー…っ!」
外はもう明るく、何時頃だろうか。外の光はうっすらと部屋に差し込んだ。
「…ん…ー。またあの夢か…ー。」
窓からの強い日差しと、鳥の囀りで白い布団から身を起こした少女。
長い栗色のストレートな髪。
白い肌に大きな丸い目。化粧を施さなくても、長い睫。
少女は、瞼を擦りながら窓に目を向ける。
「あれから、5年か…ー。」
少女の長い物語は今始まった。
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