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夜も遅く、道を行く若者達は楽しそうに笑う。
だからあたしは思う。
そんな若者達が羨ましいと…ー。
そんな若者達は、あたしを見ながら何かを囁く。
昔から、何かと可愛い可愛いと言われ続けてきたせいか、今ではすっかり慣れてきたその言葉。
そんなあたしは知っている。この外見は武器になる事を。
だから、目が合えば笑う。大抵の男達は顔を赤くして目を逸らす。
性格が悪い?そんな事は解ってるの。
だけどね、あたしからしたら可愛くって、性格も良くて…。
謙虚な子の方がずっと信用出来ない。
人は変わっていくものだから。
あの人の様に…ー。
「あれれー。初めて見る顔だけど、あんた可愛いねー。」
あたしの前に立ち、前を歩こうとするのを邪魔する男達。
茶色の髪を耳の下の辺りまで伸ばして、左耳には無数のピアス。
…顔も悪くはない。大きめの目は形も良く、小さめの顔にはバランスの取れた鼻と口。
一般的には、美形に入るがその顔は童顔で幼くも見えた。
あたしはいつもの様に笑みを浮かべる。
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