コワレタ華

7/14
前へ
/655ページ
次へ
だって、満希もあたしと同じだから。 「ほら。早く帰るぞ。それから、これからは勝手にでるんじゃないぞ。」 そう言って、あたしの手を引いて歩き始める彼。 満希は、かなり美形に入ると思う。お世辞にも真面目には見えない彼。 クリーム色に近い状態の金髪。左耳には綺麗に並べてはめられてるたくさんのピアス。 そんな彼は、あたしのヒーローだ。いつも、どんな時も満希だけは味方でいてくれる。 どうしようもないあたしを見ても、きっと優しく包んでくれる。 「たまにはお兄ちゃんの言う事、ちゃんと聞いてあげてもいいよっ。」 だって、彼はあたしの身内だ。血の繋がった兄。 あたしを救い出してくれた兄だから。 「妹なら妹らしくしてろよっ。…ったく…。」 ふふっ。そんな事を言いながら笑う満希はとても優しく見えるんだ。 「満希はお兄ちゃんらしくないじゃん。たまには兄らしくしたら?」 憎まれ口を叩くあたしも、可愛いだけの妹にはなれないらしい。 あたしと満希の絆は固い。周りが変わっていく中でただ一人だけ、味方でいてくれた人だから。 こんなあたしでも、満希だけは守りたいと思うんだ。
/655ページ

最初のコメントを投稿しよう!

667人が本棚に入れています
本棚に追加