プロローグ的な奴

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 透き通るような青い空 そびえ立つ入道雲 ミンミンジージーと泣き喚く蝉 存在感を見せ付けるように爛々と照りつける太陽 マジ死ねばいいのに……  高校一年の夏真っ盛り、学校の昇降口を出て一人ごちる。 そそくさと帰る生徒、汗水垂らして走り込む部活動員 木陰で涼む男女グループ 毛虫落ちろ そんな最低なことを考えながら校門を見やると、 門に背中をつけてもたれ掛かる一人の少女 その横を悠然と 「通り過ぎようとするな」 凛とした声と共にいきなり襟首を掴まれ、呼吸が詰まる。 こいつは幼なじみの千咲 2つ年上の高3 身長はすらりと高く、男の俺より若干低め程度 凛とした声と同様、非の打ち所がない程整った顔立ち 背中まで届く黒髪をポニーテールで纏めている 引っ込んでるとこは引っ込み出るとはこれでもかというほど存在感を顕わにする いわゆるモデル体型 その容姿も相まってか面倒見が良く男女問わず人気が高い 「全く…幼なじみの女の子が待ってやってるのに何も一声掛けないってどういう神経してんのよ」 「…っせーな……別に待っとけなんて頼んでないだろ」 「わぁ…出た出た…あんたそんなんだから友達できないのよ?わかる?」 散々な言われようである。 背格好は一般的な高校生で筋肉質な体付き 鼻、口、耳は特に至って普通だが、生まれ付き目つきが鋭く 眉もつり上がって不機嫌そうとかいつも怒っているように見られるのが客観的な俺の印象 まあそんな見た目なので入学早々に上級生の不良グループに目を付けられた。 そこまでなら先生に相談するなりなんなり対応が練られたはず だが あろうことかその不良グループは10人程だったのだが喧嘩をふっかけられてもリンチどころか全て返り討ちにしてしまったのだ。 ふと我に返るとバカ正直に自ら先生に喧嘩したと報告 停学処分となっていた。 「……はぁ…あんたのその喧嘩っ早いとこどうにかなんないのかねぇ?」 「関係ねえだろ。受験はいいのかよ?人の心配よりそっちだろ」 「ま~たそうやって話を逸らす~、だ~か~ら~あたしは受験なんてしないの!家の仕事継ぐんだから。それにあんたの心配でおちおち勉強が手に着かないのよ」 「成績上位者が何を言いやがりますか。俺のことなんかほっといて彼氏作れよ、ほらなんか告られてたじゃん?え~っとなんだっけ?……な…なんとかまざき君」
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