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一人が掴み掛かってくる
突き出された右手首を左手で外側から掴み捻り込む
「あだだだだだだだ!」
「てんめぇ!何しやがる!」
もう一人が殴りかかってきたので、掴んでいた男を蹴り転がす。
拳を避けると同時に懐に入り込み、突き出された腕を掴んで引きながら鳩尾に肘鉄を食らわせる
「うっ?!」
たまらず鳩尾を押さえ込み膝から崩れ落ちる
「やりやがったな!!」
蹴り転がした奴がまた向かってきたので
振り向き様に相手の横顎目掛けて、背中を少し後ろに倒しながら上段蹴りを放つ!
「たぁああ!!」
パァアアン!!
高らかな音が響き、よろけながら仰向けに倒れる相手
ふぅ~……と息を整える
すると騒ぎを聞きつけた警官二人がやってきて
「どうしたの?何があった?」
警官の事情聴取に痴漢を撃退したと説明
「何か武道とか護身術とかやってるの?」
「はい、冠薙流のを少々…」
「ああ!冠薙!うちの警察署も師範にお世話になってるよ!」
帰り道気をつけてと言われ、返事をしながらその場を後にする。
帰り道、土手の向こうに真っ赤に燃える夕日が幻想的な光景を映しだす。
冠薙家は千咲の家の隣、奥には冠薙流道場が
一端家に帰り、制服を着替え
両親に大呀の家に行くと伝えて家を出る。
玄関前に到着
灯りが点いてない……寝てるのかな…
ピンポーン………
………………………………………。
ピンポーン………
……………………………………出ない
家の電話に掛ける………出る気配なし
携帯に掛ける
『こちらは×××サービスセンターです。おかけになった電話番号は電波の………』
もしかして電源切って寝てるとか?いつも電源切るなって言ってんだけどなあ?
とりあえず合い鍵を取り出す
この合い鍵は大呀のお母さんから「大呀をよろしくお願いします」と意味深な言葉と共に手渡された
鍵を回して玄関を開ける
「大呀~?上がるよ~?」
大呀の部屋は二階なので起こすために螺旋の階段を上がる
「大呀~?」
大呀の部屋に入る
男子の部屋にしては綺麗に整理整頓されており、掃除も隅々まで行き届いている。
なんせ掃除してるのは何を隠そうこの千咲である
定期的に掃除しに来るので大呀は呆れながらも任せている
「あれ?いない……」
それに帰った形跡もない……朝起きてそのままの状態のようだ
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