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「ち…千咲?!」
「いや‥…いやだ……大呀………あたし………あたし……」
「……いっしょに帰ろ?ね?送るから」
友人に背中を押され、支えられながら家に帰った千咲
友人達は心配そうにして千咲といっしょに居てくれたが
もう外は暗い
彼女らは学生、当然帰らねばならない。
見送りは千咲の母親が行った
千咲は泣き止んではいるが目は虚ろで心ここにあらず
たまらず母親が話掛ける
「千咲、大丈夫?何があったの?」
「………消えたの………いなくなったの………」
「消えた?いなくなった?誰が?」
「……大呀」
「え?ど、どういうことなの?!」
「大呀……どこいったの?………あたしどうしたらいいの?」
またボロボロと涙を流し始める
「あたし………何をすればいいの?………何をしてあげればいいの?………ねえ…大呀~?」
「千咲……」
「大呀……帰ってきて……お願い帰ってきて……もう怒らないから………大好物毎日作るから………だからお願い……お願い…」
「大丈夫よ~千咲。きっとひょっこり帰ってくるわよ?」
「帰って……くるかな?」
「きっと帰ってくる…うん…」
「……じゃあ……大呀の部屋で待ってる」
そういうと千咲は立ち上がりふらふらと家を出る
冠薙家の玄関を開けて上がり
とぼとぼと二階へ上がる
もしかしたら……もしかしたら……
部屋の扉を開ける
……………いない……やっぱりいない………
ベッドにうつ伏せに倒れこむ
「……………………。」
改めて気づく
あたしは…………大呀がいないと…………
何も出来ない
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