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「タイガ君………あれ見て」
ユナは窓を指差す
空を覆う一面の雨雲
そこに小さく
しかしくっきりと目に映る黒い影
段々と此方に近づいてくる
僅かに上下に揺れて翼をはためかせ………っておいおい……
急いでグラウンドに出る大呀とユナ
既にグラウンドには臨戦態勢が敷かれ上位クラス、教師、学長までもが神妙な面持ちで空を見上げていた。
「カンナギ!」
学長がこちらに気付く
「あれはまさか」
「………そのまさかです」
その黒い影はグラウンドの上空で滞空し、ゆっくりと高度を下げて地に脚をつける
ソイツと目が合う
『また会ったな…小僧……久し振りだ』
「1日しか経ってねぇよ。てめぇ完治までに2~3日つってたろ?」
『ああ……確かに完治はしておらぬ、だが……お前に早く会いたくてな』
「ちょっとは我慢しようぜそこは………傷の痛み我慢出来てなんで戦意を抑えられんかな~」
俺が言えたことじゃないがな
『傷は癒えてはおらぬ。だが痛みなどどうでもよい……」
突然
ドラゴンの全身が炎に包まれる
「カ、カンナギ?!どうなっている?!」
シェリカが驚愕の表情で聞いてくるが俺にもわからん
燃え上がる炎は徐々に小さくなり、やがて人型をつくる。
炎の衣を纏った人型は衣を脱ぎ捨てるかのように振り払った
未だに燃えているかのような朱い髪を靡かせ
ゆっくりと、そのスラリと長い脚で歩を進め
くびれた腰に片手を置いて
今にもこぼれ落ちそうな胸を張り
端正な顔立ちに妖艶な笑みを浮かべる
「この人型になるのは何十年振りかのう~二本脚というのはやはり慣れんわい。」
「……何故ミラ・○ェーンが……?しかも朱髪?」
「……確かに我は魔族じゃが悪魔ではないぞ?」
………なんで知ってんの?
「……ドラゴンって性別あるんだ…」
「お前の関心事はどうして斜め上を行くのかのう~……確かに我は女というより雌じゃ」
いやあんたの言動も十分おかしい
「あ~…っそ……んじゃまあ……えっと……」
「そうか、名を名乗って居らなんだな」
そういえば聞いてなかったね
「我が名は フレア・ドラグ・イグニール
フレアと呼ぶがよい」
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