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ユナが戸を力いっぱい開こうとするが見えない力に抑えつけられてるようでビクともしない。
「……ガラスを破ろう……」
リンの提案にユナが反対する。
「?!! ちょっと……そんなことしたら私達の勘違いだったじゃ済まないよ!!」
「……ガラスは無理です。何か仕掛けが施されているようです……」
フレアが窓ガラスの側に立って手の平を近付けるとバチバチと青白い電撃が接触を阻む。
「魔法?結界なの?!!」「わかりません……ただ触らぬほうがいいとしか……」
♪~♪~♪~
いきなり千咲の携帯に見知らぬ着信音が鳴る。
いや知っている。
でもその着信音は千咲の携帯には入っていない。
「………なん……で……この音が……」
かの某ホラー映画でしか聞いたことのないメロディー。
自分が見たいとは言い出したものの、実際は大呀の背中に隠れて枕を抱きながら垣間見ていた、あの映画。
慌てて携帯を取り出し電源を切ろうとするがメロディーは鳴り止まない。
それだけではない。
電気系等は切れてるにも関わらず突然映るテレビ。
最初はザラザラと砂嵐を映しているだけだったが、途中から映像が切り替わる。
ユナとリンがゆっくりとテレビに近付いた。
「……え?……井戸……?」「古井戸か?」
ガタンと物が落ちた音がしたので振り返ると千咲が鳴り止まぬ携帯を落として腰を抜かしていた。
「……そんな……何かの冗談よね?手の込んだドッキリか何かなのよね?
何?アタシが″こういうの″苦手だって……タイガにでも聞いたの?」
「ちょっとチサキちゃん、落ち着いて?」「これ…何か知ってるの?」
まだ……しらばっくれるんだ……
「アタシは……騙されないから!!」
とは強がったものの、腰が抜けてしまっているためまともに立ち上がれない。
身体を引き摺るようにして部屋のドアへ向かう。
「……え?何?ちょっと井戸見て!!」「なんか……手が出て……え?人?!!」
来る…………きっと来てしまう!!
「ん?何かの撮影かな?ホラー映画って奴?」「女?……あ、なんかこっちくる……」「え……嘘……そんな……有り得ない……」
ドアにたどり着いた時に二人の悲鳴が聞こえた。
フレアもいっしょにドアを開けようとするがなかなか開かない。
『アアア…アア………アアアア……』
?!!!
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