遠くから見える君の姿

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春、季節は桜が咲き始めてすぐの4月。 俺が住むこの街にも春が訪れました。 毎日通いなれたこの通学路も、横を歩くメガネのデブも たまに聞こえる後輩達の笑い声も、全てが今年1年で終わるんだ。 高校3年生になって初日。俺はとにかく眠い気持ちを抑えつつ学校に向かう。 『ふぁーぁ。眠たいんですけどぉ…』 腑抜けた声が出たもので、自分でも驚いている。 俺の背中には高校1年生のときに引っ越し祝いで貰ったアコースティックギターが悠然とぶら下がっている。 貰った当初こそ、全く弾けないし音とかよくわからない俺にはただの宝の持ち腐れだったわけだが。これでも3年目に突入していれば何となく自分でも聞けるくらいにまで成長はしているはずだ。 「おはよう。おはよーあ、藤川君おはよう」 彼女の名前は松井結衣。 頭脳明晰・容姿端麗・才色兼備非の打ちどころが無い美女である。 彼女は俺の席の隣。クラスの席順は学力順になっており 頭の良い人間は後ろの席になる。 ちなみに俺は左側に位置している。 それは何故か。それは俺がこの松井を退けて常に学力トップだからである。 学校中の男どもに羨まれたがそんなにいいものなのか。 松井はいい匂いでもするのだろうか。いや、するだろう。
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