444人が本棚に入れています
本棚に追加
と決意を固めつつあった矢先。
アリシアに機先を制された。
「いいのよ。ルートの気持ちがどうだって。
単にわたしが決めたことなんだから。
ルートがね、あの変な拳士の女の子の事が好きになっちゃってても……」
「ちょ、それは違う!」
これは全否定だ。その誤解はいろいろまずいし不本意すぎる。
「隠さないでいいのよ」
「だから違うって!」
「えっ? まさかエルーラとかじゃないでしょうね?
それともあの影の薄い女の子。あれって魔術戦で戦った子の彼女じゃないの?
奪っちゃったの? それとも片思い?」
「そうじゃなくって!」
「マリシア? あの破廉恥な冒険者のベルさん?
まさか……ポーラじゃあ……。
え、ひょっとしてルートって年上が好みなの!?」
アリシアは何気に恋敵の多い自分を再確認するかのように続々と名前を出していく。
このままじゃあ、きりがない。そのうち、サーシャ食堂のおばさんとか、露店で未だに編み物屋をやっていそうなおばあさんとかの話になりかねない。
「違うって。俺が……、俺がほんとに好きなのは……」
俺はアリシアの瞳を見つめた。
どくん。
心臓が波打つ。アリシアも可愛い。それに俺のことを想ってくれる。
そして健気だ。俺の気持ちはどうであれという強い心の持ち主。
小さい頃をずっと一緒に過ごした。
アリシアにじっと見つめられていると気持ちが揺らぎそうになる。。
俺が好きなのはアリシアだと言ってしまいそうになる。嘘じゃない。
今現在で言えば、芙亜への想いとアリシアへの想いは同程度だ。
同程度、わずかに芙亜のほうが上だけど……そこに絶対に超えられない壁は無い。
だけど…………。
最初のコメントを投稿しよう!