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「まあ、依頼は完了したし、初依頼なんだからこのまま帰って完了報告でいいんじゃない?
地道に行こうぜ、地道にコツコツと」
「だって、折角なのになんのイベントも起こらないなんて、幸先が悪いわよ。
ねえ、もうちょっと、もうちょっとだけ……」
「でもなあ。ヤバいのに出くわさないとも限らないし……」
「あっ、じゃあこうしましょう。
わたしが探索魔術で、周囲の状況を見るから。
それだったら、大丈夫でしょう?」
「探索魔術なんて使えるのか?」
「まだ練習中だけどね。一応、魔物の大体の強さぐらいはわかるわよ」
なんか本末転倒だな~と思わないでもない。
依頼は完了。それだけだとつまらない――手ごたえやらなんやらが少ないとアリシアは思っているのだろう。
だから、もう少しスリルを求めて森の奥へ。
だけど、スリルがありすぎるのも困りもの。だから、探索魔術で危険が無いかを事前にチェックする。
そしたら、安全でお手頃なスリルを味わうことができる?
やっぱり目的を見失っている気がする……。
なんて考えている間にアリシアは魔術を詠唱し始めた。
「ムーギェン・ノル・ジグェン・ヘル・シーソゥ……」
風の精霊が躍り出す。
アリシアの顔色が変わった。
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