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「冒険者!? 旅人?
襲われてる!?」
「どうした!?」
「すぐ近く! あっち。
魔物が!! 人を襲ってる!!」
アリシアは駆け出した。俺ももちろんすぐに後を追う。
アリシアは、元々旅の護衛をしたくて冒険者になったんだ。
仮に、旅人がちゃんと冒険者を雇っていて俺達が手出しする必要なんて無くたって。
魔物に襲われているという事実を知ってしまった以上はアリシアは無視できないだろう。気持ちはわかる。
すぐ近くとは言っていたが声も気配も届かない。
俺達がたどり着いた時には、全てが終わっているのが一番いい。
もちろん護衛が魔物を退けたというハッピーな結末。
だが、期待は裏切られる。最悪の事態ではなかったのが救いだ。
「あそこ!」
アリシアの視線の先。森が拓ける。街道だ。この付近の街道は結界も整備されておらず、当然魔物も出る。
だから、力の無いものだけで通ることはまずありえない。そのはずだけど。
「絶対に近寄らせないんだから!」
小さな女の子の叫び声?
と、ともに爆発音。
火属性の魔術か!?
少女の放った魔術の対象となったのはもちろん魔物……硬い外殻で覆われた昆虫種(インセクト)のひとつ。アィアンアントだ。
もちろん初めて見る。
全部で5匹。運がいい。アィアンアントは、もっと大きな群れで活動することもある種族だ。
何十匹という数で攻めてくることもしばしばという風評。
だが気は抜けない。生半可な魔術は通用しない相手。下手に刺激をして、戦いを長引かせてしまうと仲間が呼び寄せられて数が増えないとも限らない。
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