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護衛は……? と状況を確認する。
一人は既に倒れている。息はあるようだ。
傷ついて、立っているのがやっとといった剣士二人が馬車を護るように立ちはだかっている。
その馬車のすぐそばに、10歳ぐらいの小さな女の子とその父親ぐらいの年齢の男性。
数の上では5対5だが、既に一人やられてしまっている上に、小さな女の子――魔術は使えるようだが――とその保護者らしき男は武装していない。
女の子が叫ぶ。
「だからあっちへ行ってってば!!」
女の子の手から火球が放たれる。威力は中級程度。詠唱も無しに? いや、事前に詠唱してたのか?
剣士の一人に襲い掛かろうとしていた鉄蟻に火球が炸裂する。
が、時間稼ぎにはなってもダメージを与えることはできていない。
昆虫種は魔術に耐性がある。
「ルートッ! あいつらを近寄らせないように!
みんなは、馬車に集まって!」
アリシア馬車の周囲を駆け回る。地面に円を、呪文を描いているようだ。
それから詠唱を始めた。
俺はアリシアを護るべく魔術で蟻達をけん制する。
その隙に、まだ動ける二人の剣士が倒れた剣士を馬車の傍へと運ぶ。
「あなたたちの好きにはさせないからっ!
三重火炎結界陣!!」
アリシアの魔術の発動を見届けてから俺は1匹のアィアンアントと対峙した。
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