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「ガルバンさん?」
受付に座っていたのは綺麗なお姉さんではなくて、むしろ『むさくるしさ』しかないおじさん。
顔見知り。子供の頃に世話になった恩人だ。ある意味では俺の剣術の師匠のひとりでもある。恩人。
何度か稽古を付けて貰った。
クラサスティス家で、長年護衛兵として雇われ、足の状態が悪くなって引退したのは知っていたが、再就職先はギルドの受付? いつから? まったく知らなかった。
「おう坊主! 久しぶりだな!
噂では聞いていたよ。
いつ帰ってきた?」
「えっと、昨日です」
「そうか……、ゴーダさんのことは残念だったな」
「あ、はい……」
「俺も葬儀には参列させて貰った。良い人だった。
お前が一人前になることを誰よりも強く願っていたはずだ。
ってわけで頭切り換えて頑張るために来たんだろ?」
「ええ、そのつもりです。
あの、これ、養成学園の推薦状です」
ガルバンさんは、封を開けて中身を見た。
「ほう!」
と一声漏らす。
「この成績だと本来ならば、ルーキーであるFランクをすっとばしでEから出発ってとこなんだがな。
あいにくと、うちみたいな小さいところだとお前レベルの新規登録者の実力を測る設備も無ければ人材も居ねえんだ。
アリシア御嬢さんと一緒のFランクでの登録になるが構わないよな?」
「はい」
むしろ望むところ。ひとつずつ地道に上がっていくのが楽しい。もちろんランク上げは手段の一つであって目的ではないけれど。
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