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アリシアもわかってくれた。当然と言えば当然。
そもそも俺がアリシアやマリシアと出会ったのは商店街の外れにある露店で店主をやっていた時。
その露店を出すきっかけを作ってくれたのがガルバーグさんだ。そのことはアリシアにも伝えてある。
俺にとっても、アリシアにとっても、ガルバーグさんは貴重な出会いをもたらしてくれた恩人だ。
ガルバーグさんのお蔭でムルさんとも出会い、アリシアの学園入学のきっかけになった。
アリシアは結局学園を辞めることになったけど、後悔はしていない。あの一連の出来事はアリシアの人生に置いて重要なことだったといつかの手紙で書いていた。
ガルバーグさんは地味ながら俺達の人生を変えてくれた一人と言ってもいい。
俺達二人は手続きを済ませて、ギルドを出た。
アリシアがあらたまった口調で言う。
「じゃあ、ルート。
わたしたちの新たな門出ね。簡単な依頼だけどしっかりやりましょう。
冒険者としての第一歩よね?」
「ああ、そうだな」
「あのね……ルート……。
ずっと前から、二人で決めてたじゃない? 冒険者になるって。
学園に入るときも一緒に出発したわよね。ポーラも居たけど。
あの時を思い出すわ。
結局、途中でわたしは学園を辞めることになっちゃったけど……。
あの時はちゃんと言えなかったけど……、だからこそ、今言っておきたいの」
俺は黙ってアリシアの話の続きを聞いた。
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