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「お父さんが言ってたわ。
ゴーダおじいさまから聞いた話。ルートのこと。
ルートには……、自分達も知らないような大きな目標があるようだって。
そして、それを成し遂げるだけの力を付けていくだろう。どんどん成長していくだろうって。そういう星の元に生まれた人間なんだろうって。
だから……、わたしなんかじゃあルートのこれからの人生についていけない。
せいぜい、冒険者として出発の時期を……今からのほんのわずかな時間を一緒に過ごすのが精いっぱいだって。
だから、お父さんもわたしがルートと一緒に冒険に出るのを許してくれたんだと思う。
いずれは離れなくちゃいけない運命なんだって思ってるから。
だけどね、わたしは諦めないからっ!
頑張って、努力して、ルートの力になれるだけの力を持ち続けて、伸ばし続けてて。
どこまでも付いていくつもりだから。
どこまでも、どんなところにだって……」
「アリシア……。俺……」
俺は、アリシアに伝えなければならないことがある。ずっと言えなかったこと。
芙亜の事だ。未だこの世界では出会っていないが……、俺が心に決めている女性。ずっと前から。それこそこの世界で生まれる前から。
すべてを話すことはもちろんできない。でも……、アリシアを傷つけないためにもいつかは言わなければならないこと。
アリシアの気持ち……。うぬぼれではないだろう。俺への想い。
今までぼんやりと誤魔化してきたけど。
それは、仲間としてではなく……、ひとりの女性として、俺を一人の男として伝えてくれているんだろう。いくら鈍感で、女心のわからない俺だって、今のアリシアの表情や口調を聞いていればわかる。
だからこそ……。
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