ACT-6

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暗闇。 やがて一切の音は消え失せ、一切のものが映らなくなる。 自分が立っているのか座っているのか。 呼吸しているのかいないのか。 しいては生きているのかどうかさえ、分からなくなる。 茜の膝が床に沈んだ。 連鎖するように里美の下半身が砕け落ちる。 「……うそ……でしょ……?」 受け入れることなど、出来るはずが無い。 「……本当は……生きて、る……んだよ……ね?」 認めることなど、出来るはずが無い。 「さっき……話た……でしょ?」 ショックで取り乱していた、周りが見えなくもなっていた、 でも……、 「……私なんていらないって……大声で……言ってたじゃない……」 どれだけきつくあたられても、 どれだけ罵られても、 彼女は心から、 心の底から祐介のことを、 「愛してるのに……」 それなのに…… 「……ゆう……すけ……」 何処を探しても、 彼の呼吸が聞こえて来ない。 「……ううっ……うぐううっ……うあああああああぁぁぁ……」
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