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絶望と呼ぶことがこれほどまでに相応しい瞬間を、未だかつて彼女らはまだ、体験したことが無かった。
目を覚ませば祐介がいて、冗談を言えばいつも将之が笑ってくれた。
そんな彼女らのことを、いつだって拓馬が見守っていてくれた。
分からない。
一体何が起きているのか。
何一つ頭の中で整理が付かない。
そのまましばらく、里美は大声をあげ涙した。
跪いたまま、額を床に擦り付けるようにして背中を丸め、絶望を吐き出す。
声が枯れるまで、その悲しみが擦り切れるまで、彼女の涙は永遠に流れ続けるかに思えた。
しかし……、
「里美……さん?」
徐々に彼女の様子が変化していることに七瀬が気付いた。
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