ACT-6

15/27
前へ
/281ページ
次へ
絶望と呼ぶことがこれほどまでに相応しい瞬間を、未だかつて彼女らはまだ、体験したことが無かった。 目を覚ませば祐介がいて、冗談を言えばいつも将之が笑ってくれた。 そんな彼女らのことを、いつだって拓馬が見守っていてくれた。 分からない。 一体何が起きているのか。 何一つ頭の中で整理が付かない。 そのまましばらく、里美は大声をあげ涙した。 跪いたまま、額を床に擦り付けるようにして背中を丸め、絶望を吐き出す。 声が枯れるまで、その悲しみが擦り切れるまで、彼女の涙は永遠に流れ続けるかに思えた。 しかし……、 「里美……さん?」 徐々に彼女の様子が変化していることに七瀬が気付いた。
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2042人が本棚に入れています
本棚に追加