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正気の沙汰では無かった。
目は考えられないほどに吊り上がり、薄明かりに照らされた口は緩やかなカーブすら描いているように見える。
「……さ、里美……」
完全に崩壊してしまった彼女の理性。
破壊された人格。
「……あは……アハハ……、……なんだよ……ネオこっくりさん……っテ……」
まるで何かが乗り移ったかのように、突然小さな声で笑い出す。
「……アハ……キャキャキャ……キャハ……」
そして呆然と立ち尽くす皆を前にし、突然振り返ったかと思うと、
出口へ向かい、猛然と走り出した。
「――里美さんッ!!」
七瀬の呼びかけなど何処吹く風。
ブルーのワンピースから覗く長い手足が豪快なストライドを描いている。
「――待って里美!!」
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