ACT-6

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正気の沙汰では無かった。 目は考えられないほどに吊り上がり、薄明かりに照らされた口は緩やかなカーブすら描いているように見える。 「……さ、里美……」 完全に崩壊してしまった彼女の理性。 破壊された人格。 「……あは……アハハ……、……なんだよ……ネオこっくりさん……っテ……」 まるで何かが乗り移ったかのように、突然小さな声で笑い出す。 「……アハ……キャキャキャ……キャハ……」 そして呆然と立ち尽くす皆を前にし、突然振り返ったかと思うと、 出口へ向かい、猛然と走り出した。 「――里美さんッ!!」 七瀬の呼びかけなど何処吹く風。 ブルーのワンピースから覗く長い手足が豪快なストライドを描いている。 「――待って里美!!」
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