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危険信号を察知したのか、真っ先に茜が反応し追いかける。
すぐさま七瀬達もその後を追った。
既に時刻は深夜0時を回っていた。
病院の自動ドアを通り過ぎる頃には、靴は脱げ、髪は乱れ、マスカラの混じった黒い涙が頬に新たなメイクを施し、
最早彼女が誰であるかのを一目で判断するのは困難な状況と化していた。
「――里美ッ!!!!」
大きな車道の脇道を懸命に走りながら叫ぶ茜。
この総合病院周辺は、他所よりも人の集まる栄えた地域。
時間も遅く既にシャッターは閉まっているものの、靴屋、パチンコ屋、中古自動車屋などが軒を連ねている。
街灯の効果もあって、前を走る里美の姿を見失うことは無かった。
しかし、懸命に追いかける茜をあざ笑うかのように、彼女はすらりと伸びた長い手足を目一杯にまで広げ、
大きなストライドでぐんぐんその差を広げていく。
「――1人じゃ危ないから!! お願い、待って!!!!」
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