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「体が、動かないや……」
ぴんと張り詰めた糸が緩み、一気に広がった安堵のせいか、歩くことが出来ない茜。
里美の元へ一歩足を踏み出そうとしても、体が言うことを利かない。
そのままぺたりと地面に尻餅を付き、今後は笑顔で里美に助けを求める。
「……もう、しょうがないな。あんたって子は」
里美の脚が一歩前へ進み、茜との距離が縮まっていく。
「えへへ、腰が抜けちゃった……」
「……無理し過ぎなんだよ。
結局私が護ってあげなきゃじゃん。
でも茜、ありがゴフッ――」
その瞬間、
赤信号を猛烈な勢いで突進してきた大型トラックが、
里美の右半身に激突した。
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