ACT-6

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「――――ッ!!!!」 グシャッという音と共に、糸で引っ張られた人形のように宙を舞う。 そして彼女は成す術もなく空中で二回転し、立っていた場所から15Mほど離れたコンクリートに叩き付けられた。 鼓膜を突き破るほどのブレーキ音と、あたり一面に広がる砕け散ったフロントガラス。 「――里美さんッ!!」 携帯を手にし七瀬が走り出した。 腕を組み、無言のまま目を見開き状況を見つめるハルト。 事態に気付いた後続車両がスピードを緩め停止し始めた。 「……ああぁ……」 茜は地面に座り込んだまま、愕然とした表情で目を見開き、パクパクと口を動かしている。 点滅していた青信号が、静かに赤へと変わった。
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