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「誰だって知られたくないことの1つや2つあるだろう。
捜査に当るのは女の方が良い。
良いから調べろ。
本人に悟られないよう、今日中にだ」
七瀬の顔に、夥しいまでの不信感が浮かび上がる。
「……茜さんを、疑っているんですか?」
目を細め、きつい眼差しで確かめるように呟く。
「あれだけ悲しんで、苦しんで、
今も1人だけ残って、懸命に警察への説明責任を果たしている茜さんを、
あなたは犯人だと疑っているんですか?」
それでもハルトの表情が、何かの感情に染まることは無かった。
何の返事も無いまま、無言の時間だけが過ぎ去っていく。
「ちょっと待って下さい。
そんな訳ないじゃないですか!
三浦拓馬さんが亡くなった時、茜さんはカラオケの室内にいたんですよ。
日野将之さんだって同じです。
死亡推定時刻はまだ分かりませんが、連絡が無く会えないから茜さんは東京まで来たんです。
じゃあ吉澤祐介さんは?
目の前で亡くなった須永里美さんは一体どうやって殺したって言うんですか!?」
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